自らの容姿が昔から恨めしかった。

その容姿のせいで両親から見放され孤児となったエドゥアルドにとって、世界は無意味で無価値なものだった。
自らがどう足掻こうとも生まれ持った容姿が変わる事はなく、過去が変わる事はない。エドゥアルドにとって今ある現実だけが事実であり全てだった。

けれど、とある人間との出会いでその世界は変わった。
孤児院の中でも浮いていた自分に声をかけてきた男はにこにこと笑いながら、容姿を気にすることなく言葉をかけてくる。
それだけでもエドゥアルドにとっては驚くべき事であり、心を動かすには十分な出来事だった。
その男は、人のよさそうな外見とは裏腹にこの街のマフィア、ヴァンジェーロのカポと共に孤児院を訪れていた。

それがエドゥアルドにとって運命の出会い。

世界は代わり、いつしか自然とヴァンジェーロに興味を抱いていた。
孤児院にもずっといられるわけではない。この容姿のせいで、外の世界にも居場所があるかは分からない。
それならば、自分でその居場所を作ればいいのではないかと……そう思い始めていた。

そうして、ヴァンジェーロに入る事を決めたエドゥアルドを、カポは快く迎え入れた。
誓いを交わしたその時から、裏切ることの許されないファミリーなのだと、そしてそれを信じているのだと……
カポと呼ばれるその人が盲目とも思えるほどにファミリーを愛し、信じていたからこそ、エドゥアルドはそれを何よりも信頼出来るようになったのだと……カポがいなくなった今にして思う。

時は流れ、いつしか自らがカポと呼ばれるようになった今も、エドゥアルドはあの出会いを忘れていない。

同様に裏切りはしない、その胸に刻んだファミリーを信じるという誓いを……







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