この世界に神などいないのだと……半ば盲目に神を信じていた頃、政史はその事を身をもって知る事になる。

今よりずっと昔の出来事、けれども今でも夢に見る出来事。

政史は孤児院で子供の世話をしていた、毎日が平和で幸せで裕福ではないけれど、決して多くは望んでいなかった。
毎日神に祈りをささげているからこそ、平穏を手に出来ているのだと、そんな風にも思っていた。

けれどもそれは幻想、偽り、無意味だと知ることとなる。

突然襲ったのは悲劇。
行き場を無くした無法者によって、ささやかな幸せは脆くも崩れ落ち、血の海に沈み……
残されたのは政史とたった一人の友人だけになる。

しかし、その友人さえも、その日を境に復讐者へと変わった。
一人残された政史はそれでも祈り続けた……儚く無意味に、ただ祈りを捧げ続けた。

そうしていつしか何一つ変わる事はなく以前友と呼んだ者は殺戮者となってしまう。
そこで政史はやっと気がついた、この世界に神などいないのだと……
それならば、この手で全てを終わらせようと……

祈りが届かぬのならば、祈りの必要がない世界を築こうと……その手に銃を取った。







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